2022年8月21(日)-23(火) 、念願の白馬岳(2932m・日本百名山・花の百名山)に登ってきた。
山仲間や山の会で登る機会に都合がつかず2度チャンスを逃した。白馬岳に登る機会はもうないだろうと思っていたのに、今回思いがけず娘たち(娘と彼)の山行に同行することができた。2人はテント泊。私は初めて一人山小屋泊を経験した。二人のおかげで念願の白馬岳に登ることができた。白馬三山を縦走することもできた。
今回の山ゆきのポイントは 〇猿倉から大雪渓~頂上山荘まで標高差1500mを上ること。 〇白馬三山(杓子岳・白馬鑓ヶ岳・白馬岳)縦走 〇7月白山につづく花の百名山。ゆっくり花を眺め名前を覚えること 〇360°の眺望。山なみを眺め遠くの山を同定すること。
好天に恵まれ、どれも概ね達成。心に残るすばらしい山ゆきになった。ゆっくりペースの私にゆったり付き合ってくれた二人に感謝の気持ちでいっぱいだ。
すぐにブログが書けないまま中断。ついに年を越してしまった。今さらだけれど、すばらしい山行を思い出しながら山行記録をまとめたいと思う。
1日目 8月21日(日)
【歩行距離5.6Km 歩行時間 約5時間36分+休憩1時間10分 上り1487m 下り8m】
※アクセス 8月20日(土)白馬村JR神城駅近くに前日泊。早朝4:30に、前夜発自家用車組2人にピックアップしてもらい猿倉へ。5:30着。
6:20猿倉登山口(1250m)出発-大雪渓コース-7:30白馬尻小屋(1559m)-(8:10~9:50大雪渓)-(葱平)-10:45岩屋跡(2291m)-11:30避難小屋跡(休憩15分)ー13:06白馬岳頂上宿舎(2730m)泊
6:20 猿倉荘登山口(1250m)をスタート。
全体に緩やかな山道を上がる。
7:30白馬尻小屋(1559m)に到着。20分休憩。トイレあり。
※白馬尻小屋は、例年春に組み立て、シーズンが終わると解体される山小屋で宿泊も可とのこと。今年は建物は解体されたまま営業しておらず、トイレだけが開放されていた。
8:22 白馬尻小屋から右手に雪渓を見ながらしばらく歩いて、ここから大雪渓に入る。アイゼン・ヘルメットを装着する。
8月下旬になり雪渓はやせていた。前半傾斜は緩やか。ゆっくり進む。
大雪渓上部。斜面がだんだんきつくなる。落石の多さに驚く。白馬大雪渓上部では杓子岳(左側)から頻繁に落石があり事故も多いとのこと。用心しながら慎重に進む。
9:55 大雪渓終了。約2km1時間30分ほど。上から眺めるとなかなかの傾斜。一歩一歩ゆっくり上がってきた。バテないでなんとかぺースを保てた。アイゼンを外す。
雪渓の末端。クレバス。クレバスの底を雪解けの水が勢いよく流れている。
ここから雪渓を離れて谷道を上がる。大小岩の多いザレた登山道をしばらく進む。
大雪渓を過ぎて、葱平(ねぶかっぴら)と呼ばれるところ。この辺りから、あちこちにお花畑が広がる。花を楽しみながらゆっくり進む。
※葱平とは、このあたり一面ネギ科のシロウマアサツキが群生していたことから名づけられた。現在はほとんど見られなくなってしまったとのこと。
11:30 避難小屋。ここで昼休憩。
避難小屋を過ぎると山頂まで急登が続く。ゴロゴロ道で歩きにくいが、きれいなお花畑に癒される。
前方、進行方向左手に杓子岳山頂(奥)。右手奥は丸山か?明日歩く稜線だ。
白馬岳頂上宿舎目指して最後の上り。きつかった。
13:00 白馬岳頂上宿舎に到着。
「一緒に登ってくれてありがとう!!!!!」感謝の気持ちいっぱいです!!!
頂上宿舎から見る白馬岳山荘。大きい!!
頂上宿舎より。夕刻、ガスが切れて夕日に照らされる杓子岳。奥に白馬鑓ヶ岳。
頂上宿舎の夕飯はビュッフェスタイル。何種類もの手づくり惣菜がたっぷりいただけます。お椀には牛肉ゴロゴロ入ったビーフシチュー。どれも最高に美味しかった!!!!!
テント組は、なんと!!!ステーキにワイン!!!
この日みた花 夏の花は終わりに近づきつつあるが、たくさんの花を楽しめた。
イワオウギ
カンチコウゾリナ
ミヤマシシウド
ハクサントリカブト この時期ものすごくたくさん咲いていた。
ウサギギク
クチバシシオガマ
ソバナ
ミソガワソウ。あちらこちらに群生。
ミヤマシシウド。花の最盛期かな。花火のようだ。
2日目 8月22日(月)
【歩行距離13.6Km 歩行時間8時間45分+休憩3時間10分 上り1113m 下り1461m】
4:50白馬岳頂上宿舎(2730m)出発-5:06丸山(2768m・5:12ご来光を望む30分休憩)- 6:35杓子岳(2812m・20分休憩)-8:10白馬鑓ヶ岳(2903.2m30分休憩)-10:20丸山-10:30頂上宿舎-11:10白馬山荘(2825m・45分昼食休憩)ー12:20白馬岳山頂(2932.3m・20分休憩)-三国境(2751m)-14:02小蓮華山(2763.4m)-14:50船越ノ頭-15:45白馬大池山荘(2378m)泊
4:50 荷物を宿舎にデポして頂上宿舎出発。
頂上宿舎より杓子岳を望む。東の空が明らんでいる。一面雲海。
5:12 丸山山頂より日の出を望む。北寄り手前に白馬岳山荘の灯り。後方に尖った白馬岳山頂がくっきり聳え立つ。
丸山山頂より西方面。朝日を浴びる立山連峰。剣岳が勇ましく聳える。
丸山山頂でご来光を眺めながら朝ごはん(30分休憩)。頂上宿舎の2段弁当。これもおかずが多くて美味しかった。頂上宿舎のご飯最高だ。
これから向かう杓子岳(左)と白馬鑓ヶ岳。稜線がよく見える。
5:35 丸山から杓子岳に向かう。一気に激下り。
6:35 ザレたジグザグ道を上り杓子岳山頂(2812m)。
杓子岳山頂より白馬岳と白馬岳山荘。雪渓の下に頂上宿舎。昨日歩いた頂上宿舎への上りコースもよくも見える。なかなかきつい上りだ。
杓子岳より白馬鑓ヶ岳に向かう。振り返って一面に広がる雲海を眺める。後方に白馬岳と小蓮華山に続く稜線。後方北東方面、妙高山など。
8:00 白馬鑓ヶ岳へ最後の上り。後方に白馬岳とその左は旭岳。まもなく白馬鑓ヶ岳だ
※杓子岳を下って白馬鑓ヶ岳に上り返す鞍部のあたりで、今回初めてのライチョウ発見。写真間に合わず残念。
8:10 白馬鑓ヶ岳(2903.2m)到着。30分休憩。
白馬鑓ヶ岳山頂 三等三角点あり。
白馬鑓ヶ岳山頂より南方面。昨年登った鹿島槍ヶ岳の双耳峰がはっきりと見えて感動した。手前に五竜岳。八方尾根の斜面も。来年は八方尾根から唐松岳、五竜岳を回りたいなと思う。
北東の方向に大きな妙高山(中央)。右のクジラの背中のようにみえるのは 右端高妻山と乙妻山(左端)。
白馬鑓ヶ岳より、白馬岳目指してゆっくり戻る。中央杓子岳を巻く道がはっきりと見える。
途中で見た花
チングルマの綿毛
コマクサ。コマクサはもう終わりの時期。ひっそり咲いている一輪見つけてものすごくうれしかった。
トウヤクリンドウ
イワキキョウ
タカネイブキボウフウ
ウルップソウ。ものすごく見たい花だったが花は終わりの季節。枯れた花のあとばかりたくさんあった。少しだけ花を残しているのを見つけてものすごくうれしかった。
※千島列島・ウルップ島で発見されたのでついた名前。北海道の山以外では、白馬岳と八ヶ岳でしか見られないらしい。貴重な植物。
シロウマウスユキソウ(エーデルワイス) 白馬岳山荘のすぐ下の斜面で発見。
杓子岳を巻いて、丸山までの上り。繰り返しの上りが思いのほかきつかった。頂上宿舎に戻ってデポしていた荷物を持ち白馬岳山荘へ。
11:10 白馬岳山荘着。
白馬岳山荘レストラン。ここでゆっくりお昼ご飯(45分休憩)。
緩やかな斜面を20分ほど登って山頂。
12:20 白馬岳山頂(2932.3m)。
山頂標識の横に一等三角点。
山頂にある方位盤。
※新田次郎「強力伝」のモデルとされる伝説の強力・小宮山正さんが、全重量360Kgの花崗岩を2つに分けて担ぎ上げたとのこと。
方位盤には全方位の山なみの稜線と山名が細かい文字で刻まれている。よくよく目を凝らして見ないと読めないくらいになっているが、剱岳・立山・薬師岳・・・大天井岳・燕岳などの名前が確かに刻まれていた。
この日朝から天気良く青空も広がっていたのに、お昼過ぎてからあれよあれよという間にガスに包まれ、360°の大パノラマを眺めることができなかった。何もかも恵まれた白馬岳山行で、白馬岳山頂からのパノラマを展望できなかったことが残念ポイント。
12:40 山頂より、これから向かう小蓮華山方面。ガスの合間から稜線がくっきり浮かんできた。
13:10 緩やかな稜線を行く。天空の散歩道のような縦走路だが、ガスガスで残念。まもなく三国境。
13:15 三国境 (みくにさかい・2751m) 長野・新潟・富山との県境。
チングルマの綿毛(果実)。緩やかな稜線に沿って、この辺り一面チングルマの花のあとだった。7月頃だったらこの辺り一面チングルマの花が咲き誇る。
13:30 三国境を過ぎて少しいったところにライチョウ。近くで撮れた1枚。
14:02 小蓮華山の手前でもライチョウ発見!!
14:00 小蓮華山(2763.4m)到着。三等三角点あり。ガスに覆われ展望なく残念。
このあたりで見た花
ナナカマドの実
ヤマハハコ
オンダテ
14:50 船越ノ頭(2612m) ここから白馬大池まで雷鳥坂ということだが、ここではライチョウに出会えなかった。船越ノ頭という興味深い名前の由来は?
15:15 雷鳥坂の下りで上から白馬大池を眺めたかったが、これもガスに覆われほとんど見えず。周囲に広がるお花畑を少し楽しみながら白馬大池山荘に向かう。
15:45白馬大池山荘着(泊)
テント場で一休み。温かいぜんざいをごちそうになった。美味しー!!!!!!
夕刻の白馬大池周辺
ガスが上がり青空が広がる。夕日に照らされた美しい風景。周囲に花畑。夏の花が終わり秋を迎えようとしている。
白馬大池山荘の夕飯はメンチカツと夏野菜のカレー。テント組はパスタ。
白馬大池山荘(泊)
前日頂上宿舎で一緒になって親しくしていただいた方と偶然同室になって、山の話をたくさんした。初めて会った方と親しくおしゃべりできるのも一人山小屋ならでは。楽しい思い出になった。
3日目 8月23日(火)
【歩行距離3.5Km 歩行時間3時間+休憩20分 上り89m 下り617m】
7:00白馬大池山荘(2378m)出発-7:35白馬乗鞍岳(2469m・15分休憩)- 9:00天狗原(2204m)-10:20栂池自然園登山口に下山(1849m)
6:55 白馬大池山荘出発
大池山荘を背に乗鞍岳に向かう。緩やかだが、ごつごつした岩が多い登山道だ。
広い山頂台地に大きなケルンが見えてきた。
7:35 白馬乗鞍岳(2469m)。広い山頂に大きなケルン。この広い山頂から白馬連峰の山々か見えるはずだが、朝から曇り空。ハイマツが広がる山頂の景色さえ分からない。
8:05 乗鞍岳より天狗原に向かって下る。北東の方向、遠く雲の間から妙高山(中央)
雪渓を横断。
8:15 大きな岩を超えて進む。
8:30 広い天狗原を一望する。
8:30 大きな岩が多い道を下る。なかなかの急下り。栂池から上ってくるのは厳しいだろうとつくづく思う。
9:00 天狗原(てんぐっぱら)に到着。標高2180mの広々とした湿原だ。木道を行く。
夏が終わり秋へと移りいく景色。花を探しながら歩く。
↑イワショウブ
9:25 天狗原より栂池自然園に向かって下る。ゴロゴロ石や木の根が多い。
10:05 だいぶん下ってきた。この辺りから花が多くなってきた。
オヤマリンドウ
オニシオガマ
10:20 ゴールが近づいてきた!!!
10:20 栂池自然園登山口にゴール!!!!!
お疲れさまでした!!! 栂池山荘前で特製ソフトクリーム!!!おいしい!!!
栂池自然園入口
自然園入ったところ。遠くに白馬岳~小蓮華山
ワタスゲ湿原
栂池自然園に入って水芭蕉湿原、ワタスゲ湿原のあたりまで木道を歩く。夏の花が終わり少々半端な時期で、湿原に咲く花をたくさんみることはできなかったが、広くて素晴らしい自然園だった。もっと奥に進むと、浮島湿原、展望湿原と続く。展望湿原まで進めば、白馬大雪渓と白馬三山がドーンと展望できるらしいが、時間がなくて行くことはできなかった。
白馬岳は格別に心に残る山行になった。
大雪渓を歩けたこと、白馬三山を縦走できたことは大きな達成感だ。そして何より天候に恵まれ素晴らしい山岳風景やきれいな花をたくさん楽しめたことが、山の楽しさを倍増してくれた。
あと何回大きな山にチャレンジすることができるか分からない年になったが、もう一度登れたらいいなと思う。今度は7月。咲き誇るお花畑を楽しみながら、もっともっとゆっくり歩きたいと思う。
ようやくブログをまとめることができた。改めて、白馬岳チャレンジを温かくサポートしてくれた二人に心から感謝の気持ちでいっぱいだ。ありがとう!!!